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博士と新卒

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Photo by Denamorado

こちらの記事ははてなブログ時代のものです。
当時博士課程の学生のブログとしてはてな公式にも取り上げてもらいました。

気が付けばこのブログも開始から7?年(注:当時の年数です。もう10年以上かな?)で、中身もずいぶん変わりましたがタイトルは変わらず「ドクター」と付いています。最近は全く博士課程のことは話題になりませんが久しぶりに博士新卒として就職をしたことや、今だから思うことを残しておこうと思います。

なぜ今お題にしようかと思い当たったのかというと、競プロAtCoderのコミュニティが若いので、学生さんが多く大学生活や就職活動の話題が多いため触発されたというのがきっかけです。学生さんが切磋琢磨している姿をTwitterで眺め、こちらもいつもやる気をもらっています。いつもありがとう。

さて、最近読んだコラムで面白かった連載から引用します。

年齢も高いしプライドも高く、頭はいいけど融通はきかず、一般社会ではやっていけないーー自分たちはそういう種類の人間だと思うようになり、また、“一般の人”からもそう思われている、と信じるようにもなりました。

web岩波「アカデミアを離れてみたら」増田(渡邉)皓子さんの記事より。この連載はこちらの他にも博士のキャリアについてたくさん紹介されております。*後にコラムが再編されて本になっています。
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 修士の時の「就職か進学か」の問いとまた少し趣が異なるのが博士の就活です。博士課程に進んで博士号取得に励んできたことは、「学業」というよりは、「キャリア」を積んできた、という自負があるのではないでしょうか。そしてアカデミアもしくは企業や公務員でも研究職を選択するというのがキャリアを継続する自然な選択肢であり、それ以外の選択肢はどこか後ろ髪を引かれるような、私の場合は学術の世界に学び、いざこれから貢献を始める途端に離れることを後ろめたいような心地がしたことを覚えています。

またプライドが邪魔するのも博士卒の就職あるあるかなと思います。私が強烈に覚えているのは、同じ研究室の先輩(同様に博士で新卒)が、就活の時に博士で就活している人に対して抱いた印象として「博士卒の何がそんなに偉いのか」と、側から見て感じたと共有してくれました。これは痛い・・。身に覚えがありました。これは自身が就活する前に言ってもらえて最もありがたかった助言です。学歴にあぐらをかかず、自分自身の強みに自信を持ち、経歴はあくまで経験を保証するものだと心して就活に臨んだものです。

博士後期課程まで進むとある程度はエリートという思考が誰にでもあると思います。だからこそ、こと就職に関しても優越的なものを期待してしまうのですが、現実はその他の就活同様、厳しいものであり、先の記事にもこのように書かれています。

高校で勉強を教えていると、たまに疑問に感じることがあります。高校教育の1つの目標として、「いい大学に入る」ということがあります。いい大学に入り、そこでいい成績をとって大学院に進む。大学院で勉強・研究をがんばって、さらに上の研究者を目指す。しかし、現在の日本のアカデミアでは、このように “望ましい” コースを歩んでいくと、その先には雇用が不安定で、賃金や保障も高水準とは言えない、茨の道が待っています。

 いわゆる「いい大学に入」った後の就活は、大企業などに入社した方が資本主義の現代の生活には合っているのだと思います。もちろん、人それぞれ環境は異なるので一概には言えませんが、自分を環境に合わせる、もしくは合った環境を選ばないと茨の道になるのでしょう。

私はハナから研究職という選択肢は残しつつも、家族と生活しやすいことを最優先事項としたため勤務地諸々を鑑みて主に企業に応募し、結果的にも企業の総合職として採用されました。現実的な選択肢として、例えば共働きだったりすると、就職というのは数ある選択肢から妥協しながら選ばないとなりません。そして相手にも選ばれないと就職はできず、それはこれまでの受験(資格と能力のみで決まる)などとは全く異なるシステムなのだと感じます。

博士課程の学生あるあるで、こあらも学生結婚なので就活時には既に家族がいるのだ!

最後にこの記事の著者の増田さんはこう述べています。

もちろん、研究者を目指すのが悪いわけではありません。好きな研究に没頭できる、とても魅力的な職業です。ただ、今の研究者雇用制度はとても不安定であると言わざるを得ません。さらに前述したように、研究者コースに一度入ると、「ここでしか生きられない」と思考が固まってしまい、その殻を破るのは容易ではなくなります(全員ではないですが、少なくとも私の周りの理学系ではそういう傾向があったと感じます)。

私が今強く思うのは、上記のようにコースに一度入っても外を見る余裕が大事だということです。私は研究が好きだから研究職に就きたいのだと昔は思っていましたが、「研究」は言葉では一言ですが、その実は多岐に渡り、私が好きだったのはプログラムで分析したり、デザインのノウハウが活かせる正しく綺麗なグラフ作りだったりと、実は研究以外でもたくさん活躍しがいのあることでした。だから、実は研究職を選ぶよりも、もっと自分が好きなことを仕事にできる選択肢は世界に溢れていたのです。

これは私自身が就活をしている時も感じましたが、現在進行形で、企業は博士人材の価値を以前よりも見直しており、博士後期課程の人材に特化した就職サイトや選考も随分と増えてきました。多くの博士課程の学生さんが、自分に合った楽しい道を見つけてくれることを願います。

編集:岩波書店編集部
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